防犯カメラの設置が増え続ける現在、耐用年数や故障による交換・修理が必要となるケースも増えているでしょう。
また、設置当時と比べて高性能な防犯カメラが登場したり、求める機能が変わったりすると、防犯カメラの交換が必要になります。
その際、ただ防犯カメラを交換すれば問題ないケースもあれば、ケーブルやレコーダーなどとの接続がうまくいかないケースもあるでしょう。
今回は、防犯カメラの交換に関連する事例です。同軸ケーブルの交換ができなくても、アナログカメラからIPカメラに交換した事例を紹介します。
本記事の概要
お客様の問い合わせ経緯
当社に寄せられたのは、エレベーター内に設置したアナログカメラをIPカメラに交換したいというご希望でした。
IPカメラに交換するには、既設の同軸ケーブルをLANケーブルに交換する必要があります。ところが今回の事例では、エレベーター用の同軸ケーブルは、LANケーブルに交換できない理由がありました。
■お客様の課題
- エレベーター内のアナログカメラをIPカメラに交換したい
- 同軸ケーブルをLANケーブルとして使いたい
近年、防犯カメラにIPカメラを導入する企業が急増しています。 IPカメラは、カメラ内部にコンピューターが搭載されていて、カメラ単体でネットワークに接続できる点が特徴 です。
そのため、ネットワークカメラとも呼ばれています。このカメラとネットワークをつなぐには、LANケーブルが欠かせません。
今回の事例でも、従来のアナログカメラで使用していた同軸ケーブルに代わるLANケーブルを新たに配線することが必要でした。
同軸ケーブルをLANケーブルとして利用できる変換器を活用~ケーブル交換なしでアナログからIPへ移行~
今回の事例では、エレベーター内のアナログカメラをIPカメラに交換することが目的でしたが、大きな問題がありました。それは、エレベーター用に配線されたケーブルが、非常に特殊な施工をされていたことです。
カメラを接続しているケーブルの中に、動力用や信号線用、カメラ用の線が同梱されていたため、同軸ケーブル単体での交換が物理的にできない状況でした。
そこでアイゼックが提案したのは、 同軸ケーブルのままIPカメラが使える「 同軸-LAN変換器VDL5030 」を使った配線です。 このVDL5030の導入について、詳しく紹介します。
ポイント1:同軸ケーブルをLANケーブルに変換
VDL5030の最大の特徴は、1本の同軸ケーブルを使用してイーサネット信号を長距離伝送できる点です。同軸ケーブルの両端に取り付けることで、その区間をLANケーブルに変換することが可能となります。
これによって、同軸ケーブルでIPカメラをネットワークに接続できるようになるため、新しくLANケーブルを配線する必要はありません。
今回のように、既設の同軸ケーブルの交換が物理的に不可能な場合や、配線コストを抑えてアナログカメラからIPカメラに移行したい場合、非常に有効な手段と言えるでしょう。
今回の事例は、エレベーター内の防犯カメラという特殊な用途でしたがVDL5030を使うことで、ケーブルの入れ替えが困難な箇所も、同軸ケーブルのままカメラをIPカメラに切り替えることに成功したのです。
ポイント2:PoE対応により電源ケーブルも不要に
VDL5030は、PoE/PoE Plusに対応しているため、カメラ側に電源が必要ありません。同軸ケーブルを通じて給電ができるため、電源用のケーブルが不要なのです。
今回の事例でも、新たにカメラ用の電源ケーブルを配線する必要がなく、同軸ケーブル1本でイーサネット信号の伝送とカメラ用電源の給電をまかなうことができました。
従来のアナログカメラでは、映像信号用ケーブルと給電用ケーブルの2本を配線しなければならないため、大幅なコスト削減が可能になります。
ケーブル配線の手間や費用を削減できるという点でも、今後はIPカメラの普及が急速に広まっていくでしょう。
ポイント3:4K画質の映像を複数カメラから伝送可能
VDL5030は最大で1000Mbpsまでの通信ができるため、複数台のカメラ映像を伝送することが可能です。
カメラの増設を希望される場合にも、非常に向いている機器であると言えます。また、IPカメラはカメラ単体でネットワークに接続できるというメリットがあると同時に、画質性能も非常に高い点が特徴となっています。
4Kに相当する高画質映像をネットワークで伝送できるため、従来のアナログカメラでは捉えきれなかった細かな画像や暗い場所での監視カメラ用途にも適しています。クリアな映像を希望するユーザーからの評価も非常に高い製品です。
アナログカメラをIPカメラに交換する重要性
当社にご相談いただいた企業様に、同軸ケーブルをLANケーブルとして利用できる変換器を使ったアナログカメラからIPカメラへの交換をご提案させていただいたところ、とても喜んでいただきました。
防犯カメラの法定耐用年数が6年とされているため、今後もアナログカメラからIPカメラに移行するニーズは高まっていくでしょう。
以下では、アナログカメラのIPカメラへの交換に関してご相談いただくお悩みの一例をご紹介します。
(1)高画質な映像を長期的に保管できる
ネットワークカメラとも呼ばれるIPカメラは、カメラ1つひとつにIPアドレスが与えられているため、単体でインターネットに接続することが可能です。
インターネット経由で遠隔から映像を監視できる他、カメラのズームや切り替えなどもリモートで操作できる点などで優れています。LANケーブルを使ってデジタル映像として録画できるため、高画質なまま長期間にわたって画像を保存することもできます。
コピーしても画質が劣化する心配がなく、ハードディスクやクラウド上のストレージに長期保管できる点でも、非常に使い勝手のよい防犯カメラシステムと言えるでしょう。
(2)修理よりも交換の方が安くなる
すでに防犯カメラを導入済みのお客様で、故障したカメラの修理を検討されているケースがあるでしょう。
保証期間内であったり、安価な部品交換だけで修理対応ができたりする場合は、修理復旧するのがベストな選択です。一方で、カメラそのものが故障した場合の多くは、修理よりも交換した方が低コストになります。
カメラ自体に互換性がある場合は、配線や電源装置などを引き続き使用することができますが、同軸ケーブルをLANケーブルとして利用できるVDL5030を利用すれば、アナログカメラからIPカメラへの移行も非常にスムーズです。
(3)PoEによる給電機能で、電源ケーブルが不要
PoEとは、Power over Ethernetの略。IPカメラの代表的な特徴の1つであり、LANケーブルを通して電源を共有する方法のことです。従来のアナログカメラの場合、電源装置から給電専用のケーブルをカメラまで配線して、電源を供給する必要がありました。
配線が難しい場合は、カメラ側で電源を用意しなければならず、カメラの設置箇所が限定されるなどのデメリットがあります。一方、PoEに対応したIPカメラは、カメラ側に電源が必要ありません。LANケーブルを経由して給電するため、カメラの設置箇所を選ばず、高所や狭い場所でも自由にカメラを設置できる利点があります。
また、カメラを増設する場合も、LANケーブルでの接続だけでよいため追加の配線が必要なく、拡張性にも非常に優れたカメラシステムであると言えます。
防犯カメラを交換する際はご相談ください
画質の高さや設置箇所の自由度の面で、非常に大きなメリットを持つIPカメラ。今後、防犯カメラ導入のスタンダードとなっていくのは間違いありません。
新規のカメラ設置はもちろん、既設のアナログカメラからの交換を検討する場合も、最小のコストでスムーズに移行する方法がありますから、お気軽にアイゼックまでご相談ください。
お客様のご要望や予算規模に応じたソリューションで、最適な防犯カメラシステムを構築します。
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