【AI活用事例】電気工事の見積作成をAIで効率化!部材リストから人工数を自動算出する見積支援システム
「見積作成に時間がかかっている」「ベテラン担当者でないと人工計算ができない」「PDFやExcelで届く部材リストの確認が大変」。
このような課題は、工事業や設備業の現場で多く見られます。
特に電気工事では、お客様から支給される部材リストをもとに、どの職人が何人工で施工できるかを計算し、工事費用を算出して見積書を作成する必要があります。
今回は、アイゼック株式会社が電気工事会社向けに開発・納品した 見積作成AI支援システム についてご紹介します。
このシステムにより、これまで1件ずつ手作業で行っていた部材リストの確認、カテゴリ判定、人工数の算出、見積作成にかかる事務作業を大幅に削減できました。

■ これまでの課題:部材リストを見ながら、1件ずつ手作業で人工計算していた
電気工事の見積作成では、まずお客様から支給される部材リストを確認します。
部材リストには、照明器具、LEDユニット、非常照明、誘導灯、配線器具、取付金具など、工事に必要な部材が一覧で記載されています。
担当者はそのリストを見ながら、
- どの部材に該当するのか
- どのカテゴリの工事として扱うのか
- 数量はいくつあるのか
- どの職人であれば1日何個施工できるのか
- 当日対応させる職人チームで何人工かかるのか
- 工事費用はいくらになるのか
を1つずつ確認し、人工数と見積金額を算出していました。
この作業は、単純な転記作業ではありません。
部材の種類、数量、職人ごとの施工能力、現場条件、付帯作業時間などを踏まえて判断する必要があります。そのため、担当者の経験に依存しやすく、作業時間もかかっていました。
また、部材リストの形式も毎回同じとは限りません。PDF、Excel、スキャン画像など、さまざまな形式で届くため、固定フォーマット前提のシステムでは対応しにくいという問題もありました。

■ 課題の本質:AIに聞けばよいのではなく、業務データを整える必要があった
今回の見積作成業務は、単にAIに「この工事はいくらですか」と聞けば答えが出るものではありません。
正しい人工計算を行うためには、会社ごとの施工ルールや職人ごとの能力差を反映する必要があります。
そこでアイゼックでは、AIにすべてを任せるのではなく、見積作成に必要なマスターデータを整理したうえで、AIと業務ロジックを組み合わせる形でシステムを設計しました。
特に重要だったのは、次の3つのマスターデータです。
- 職人データ
- カテゴリーデータ
- 部材データ
職人データでは、職人ごとのスキル区分や対応可能な工事カテゴリ、人工単価などを管理します。
カテゴリーデータでは、各部材カテゴリに対して、それぞれの職人が1日あたり何個施工できるかを管理します。たとえば、あるカテゴリの部材はスキルAの職人なら1日何個、スキルBの職人なら1日何個施工できる、という情報です。
部材データでは、部材名や型番と、それがどのカテゴリに該当するかを記録します。
この3つのデータを整備することで、AIが読み取った部材リストをもとに、システムが人工数を自動計算できるようになりました。
■ 解決策:部材リストをAIで読み取り、人工数を自動算出
今回開発した見積作成AI支援システムでは、お客様から届いた部材リストをアップロードすると、AIが内容を読み取り、見積作成に必要な情報を整理します。
主な処理の流れは次の通りです。
<span class="line"><span>1. お客様から部材リストを受領</span></span><span class="line"><span>2. 担当者がシステムへアップロード</span></span><span class="line"><span>3. AIが品名、メーカー、型番、数量などを抽出</span></span><span class="line"><span>4. 部材データと照合</span></span><span class="line"><span>5. 未登録部材はAIがカテゴリ候補を提示</span></span><span class="line"><span>6. 職人データ、カテゴリーデータを参照</span></span><span class="line"><span>7. 当日対応する職人チームで必要な人工数を自動計算</span></span><span class="line"><span>8. 工事費用を算出</span></span><span class="line"><span>9. 見積書作成を支援</span></span>ポイントは、AIが読み取った結果をそのまま見積に使うのではなく、社内のマスターデータと照合していることです。
部材名や型番に表記ゆれがある場合でも、過去の登録データやカテゴリ情報をもとに候補を表示します。担当者はAIの候補を確認し、必要に応じて修正・承認します。
承認された内容は次回以降のマスターデータとして蓄積されるため、使うほど部材判定や人工計算に必要な情報が整っていきます。

■ 職人ごとの施工能力を反映した人工計算
電気工事の見積では、単純に「部材数 ÷ 標準施工数」で計算すればよいわけではありません。
同じ部材でも、職人によって1日に施工できる数が異なります。また、現場によってはスキルの異なる職人が同じ案件に入ることもあります。
そこで本システムでは、職人ごとの施工能力やスキル区分をマスターデータとして管理し、当日アサインする職人に応じて人工数を計算できるようにしました。
たとえば、
- スキルAの職人が1日で施工できる数量
- スキルBの職人が1日で施工できる数量
- 複数職人で対応した場合のチーム全体の処理能力
- 下準備、養生、清掃、撤去などの付帯時間
- 工期日数と延べ人工の違い
を考慮した計算が可能です。
これにより、見積担当者が毎回Excelや手計算で処理していた人工計算を、システム上で再現できるようになりました。
■ AIは補助役、人が確認すべきところは残す
今回のシステムでは、AIが部材リストを読み取り、カテゴリ候補を提示し、見積作成に必要な情報を整理します。
一方で、最終的な確認や承認は人が行います。
AIが得意なことは、PDFやExcelから情報を抜き出すこと、表記ゆれを整理すること、過去データから候補を出すことです。
一方で、見積金額の最終判断、特殊な現場条件の考慮、顧客へ提出する内容の確認は、人が責任を持って行うべき領域です。
そのため、アイゼックでは「AIに全部任せる」のではなく、AIと人の役割を分ける設計にしました。
この考え方により、担当者は不安なくシステムを使いながら、手間の大きい確認・照合・計算作業を削減できます。
■ 導入効果:月30時間程度の事務作業を削減
この見積作成AI支援システムを導入したことで、見積作成にかかる事務作業の手間を大きく削減できました。
特に効果が大きかったのは、次の3点です。
- 部材リストの確認作業が効率化された
- 部材カテゴリと職人別施工能力の照合作業が減った
- 人工数と工事費用の算出が短時間でできるようになった
導入後の効果として、月30時間程度の作業削減につながっています。
また、お客様の試算では、削減された事務作業時間を金額換算すると、2ヶ月から3ヶ月程度でシステムの開発費用を回収できる見込みとなっています。
AIを使うと月額費用が高くなるのではないかと心配されることもありますが、今回のシステムではAIのAPI使用料は月1,000円程度に収まっています。
つまり、AI活用は必ずしも高額なランニングコストがかかるものではありません。業務に合わせて適切に設計すれば、少ない運用コストで大きな業務削減効果を出すことができます。

■ AI導入で重要なのは、現場の判断基準をデータ化すること
今回の事例で重要なのは、AIそのものよりも、見積作成に必要な判断基準をデータとして整理したことです。
電気工事の見積作成には、長年の経験や現場感覚が含まれています。
しかし、その判断基準をすべて担当者の頭の中に置いたままでは、業務は属人化し続けます。
今回のように、職人データ、カテゴリーデータ、部材データとして整理することで、AIやシステムが参照できる状態になります。
その結果、ベテラン担当者の判断を完全に置き換えるのではなく、ベテラン担当者が毎回行っていた照合や計算の手間を減らし、若手や他の担当者でも確認しやすい仕組みにできます。
これは、見積作成だけでなく、点検、報告書作成、問い合わせ対応、在庫管理、発注判断など、さまざまな業務に応用できる考え方です。
■ アイゼックは現場業務に合わせたAIシステムを開発します
アイゼック株式会社では、AIツールを紹介するだけでなく、会社ごとの業務に合わせたAI活用システムの設計・開発を行っています。
今回のように、PDF、Excel、スキャン画像、社内マスターデータ、職人ごとの施工能力などが関係する業務では、既製品のAIツールだけでは対応しきれないことがあります。
その場合でも、業務フローを整理し、必要なデータを定義し、AIと業務ロジックを組み合わせることで、現場で使える仕組みを作ることができます。
また、当社には中小企業診断士資格を保有した社員も在籍しています。
AIやシステム開発の知見に加え、業務分析や経営改善の視点から、会社ごとの課題に合わせて「どの業務をAI化すべきか」「どのデータを整備すべきか」「費用対効果が出るか」まで踏み込んでご提案できます。
「見積作成に時間がかかっている」
「PDFやExcelからの転記作業を減らしたい」
「職人や担当者ごとの判断が属人化している」
「自社業務に合わせたAIシステムを作りたい」
このようなお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
当社は、AI活用診断から、業務フロー整理、マスターデータ設計、AIシステム開発、導入後の改善まで一気通貫で支援します。
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