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【この記事のポイント】

  • 課題: AI 活用の情報が増える一方で、「実際に自社業務へどう組み込むのか」「どこまで効率化できるのか」が見えにくく、現場で使える形に落とし込む必要があった。
  • 解決策: 自社に AI エージェント「Openclaw」を導入し、社内に蓄積された顧客情報、売上情報、営業日報、商品・案件情報などを横断的に扱える環境を整備。マーケティング分析、顧客分析、事業計画の見直し支援に活用。
  • 成果: 分析や文章作成にかかる時間を削減し、担当者は改善施策の実行や意思決定により集中できる体制へ。既存人員のまま取り組める業務量を拡大できた。

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1. なぜ OpenClaw を導入したのか

2026年2月頃から、技術コミュニティやSNSで「OpenClawを導入した」「AIエージェントを実務に入れた」という事例を見聞きする機会が増えてきました。単なる話題ではなく、実際の業務フローの中でAIを動かしている発信も多く、OpenClawがどこまで実務に使えるのかが気になり始めました。

当社でもそれ以前から、Claude Code や Codex のようなコーディング支援型のAIは活用していました。フォルダの中に入り、コードを書き、コマンドを実行してくれる体験はすでに便利でしたが、OpenClaw になると何が変わるのか、より広い業務文脈の中でどう動くのかを自分たちの環境で確かめたいと考えました。

導入を後押しした、日常業務で感じていた課題

OpenClaw が気になった背景には、単に新しい技術への関心だけでなく、既存業務の中で人手では回しきれない領域がはっきりしていたこともあります。

ひとつは、Webマーケティングにおける「改善活動」に十分な時間を割けていなかったことです。新規記事の制作は進められていた一方で、 既存記事のリライトや内部リンク導線の整理は停滞しがち でした。また、GA4 などのデータ分析や、それを踏まえた具体的な改善提案まで継続的に回すことが難しく、改善運用が弱い状態 になっていました。

もうひとつは、 既存顧客との関係性強化が属人的になりやすく、十分に仕組み化できていなかった ことです。 顧客ごとの購買傾向を正確に把握したり、重点的にフォローすべき先を抽出したりするのに手間がかかり、クロスセル候補の整理や休眠顧客の掘り起こしも後回し になっていました。その結果、関係性を強化するためのデータ分析や、そこから能動的に提案していく業務が抜け落ちやすい状況でした。

日常業務で感じていた課題

そこで当社では、実際に入れて試してみるのが早いと判断し、2026年3月16日より AI エージェント「OpenClaw」の導入を開始しました。

2. OpenClaw とは何か

当社では OpenClaw を、AI 活用の次の進化形態のひとつだと捉えています。

これまでの流れを大まかに整理すると、AI は次のように進化してきました。

  • ChatGPT のように、チャット欄の中で質問や相談に答えるAI
  • Claude Code や Codex のように、フォルダの中に入り、コーディングやコマンド実行まで行うAI
  • OpenClaw のように、社内データや業務文脈を踏まえながら、複数の業務をまたいで動かしていくAIエージェント

つまり OpenClaw は、単に会話するAIでも、単にコードを書くAIでもなく、実務の流れに入り込んで動くことを前提にした存在です。マーケティング、顧客分析、計画策定のように、コード以外の業務も含めて扱える点に大きな特徴があります。

もちろん、導入しただけですべてが自動化されるわけではありません。ただし、社内情報を整理し、AI が参照できる形に整えることで、チャットUI中心のAIやコーディング支援中心のAIとは異なる使い方が見えてきます。

3. 実際に何を進めたのか

導入後は段階的に活用範囲を広げており、

  • 2026年3月中:Webマーケティング分析の自動化・レポート生成の仕組みを構築
  • 2026年4月15日現在:既存顧客の分析・アプローチ設計まで対応可能な状態へ拡張

と、短期間で実務に組み込めるレベルまで運用を進めています。

このように、AI活用は一度にすべてを自動化するものではなく、業務単位で整理しながら段階的に適用していくことで、初めて実務に耐える形になります。

本記事では、当社が実際に OpenClaw を導入し、どのように業務へ落とし込み、どの領域で効果が出ているのかについて具体的にご紹介します。

4. OpenClaw を活用した 3 つの業務改善

改善 ①:WEB マーケティング分析の効率化

まず取り組んだのが、WEB マーケティング業務の見直しです。

Openclaw に対して、毎週のマーケティングデータをもとにレポートを作成させ、以下のような観点で改善提案を行う運用を整えました。

  • 既存記事のリライト候補の抽出
  • サイト内導線の見直し提案
  • 広告運用に関する改善案の整理
  • 優先的に着手すべき施策の洗い出し

これにより、担当者がゼロからデータを読み解く時間を抑え、施策の判断と実行に注力しやすくなりました。特に、定期的な分析業務を AI に補助させることで、改善サイクルを回しやすくなった点は大きな効果でした。

改善 ②:顧客分析と休眠顧客の掘り起こし

次に、社内に分散していた複数のデータを横断的に扱い、顧客分析へ活用しました。主に対象としたのは以下の情報です。

  • HubSpot 上に蓄積された顧客情報とメール履歴
  • MF クラウド上の売上情報と販売商品データ
  • 営業担当者の日報データ
  • 当社の商品・サービス情報、過去案件の記録

これらをもとに Openclaw へ横断分析を行わせ、以下のような支援を実施しています。

  1. ABC 分析による重要顧客の可視化
  2. 重要顧客との関係強化に向けた施策提案
  3. 休眠顧客の掘り起こしに向けたアプローチ案の作成

この分析結果を受けて、当社ではメールマガジン施策にも着手しました。従来は、他業務の優先度が高く、配信企画や原稿作成まで手が回らない状態が続いていました。

現在は、対象顧客のペルソナを設定し、Openclaw からの質問にいくつか回答することで、メールマガジンのたたき台を短時間で作成できるフローを構築しています。文章作成の負担が軽減されたことで、継続的な情報発信にも取り組みやすくなりました。

改善 ③:事業計画・月次計画の見直し支援

経営面では、年間計画や月間計画の策定・振り返りにも Openclaw を活用しています。

事業運営では、年初に立てた方針が日々の業務の中で少しずつぶれてしまったり、顧客層や主力サービスとの整合性が十分でない施策が計画に入り込んでしまったりすることがあります。こうしたズレを早い段階で見直すには、第三者的な視点で計画を点検する仕組みが有効です。

当社では、先述の顧客情報や売上情報に加え、年間計画・月間計画の内容も Openclaw に参照させ、以下のような支援を受けられる環境を整えました。

  • 計画内容が現状の顧客構成や商材と整合しているかの確認
  • 優先順位の見直し提案
  • 月次振り返りを踏まえた次月施策の整理

経営判断そのものを AI に任せるわけではありませんが、検討材料を整理し、抜け漏れや視点の偏りを減らす補助役として有効に機能しています。

5. 導入後に変わったこと

Openclaw の導入によって、業務の進め方そのものにも変化がありました。

特に大きかったのは、エンジニアだけでなく非エンジニアも含めて、GitHub や VS Code を使いながら AI と対話し、成果物ややり取りを蓄積していく運用へ移行したことです。

顧客対応のメモ、集客記事の作成、メールマガジンの原稿作成といった業務を、単発で終わらせるのではなく、後から再利用できる形で残していくことで、AI が参照できる情報資産を少しずつ増やせるようになりました。

AI と人間の情報の主導権が変わった

さらに大きかったのは、AI と人間の情報の持ち方そのものが変わったことです。これまでのAI活用では、人間が会社という大きな情報群の中から必要な一部だけを切り出してAIに渡し、その範囲で処理させる形が中心でした。つまり、どの情報を持っているかの主導権は常に人間側にありました。

一方で Openclaw を導入してからは、会社概要、顧客情報、売上情報、営業日報、計画情報などを継続的に読み込ませることで、Openclaw のほうが人間よりも広い範囲の情報を横断して把握し、その上で改善提案を返してくる場面が増えてきました。

言い換えると、 「どちらがより多くの情報を握っているのか」という関係が変わり始めた ということです。人間が必要な情報を都度渡してAIを動かす段階から、AIが会社の文脈を広く把握した上で、人間に提案を返してくる段階へ移った。この変化は、当社にとってひとつの転換点だったと感じています。

情報の主導権が人間からAIへ

一方で、AI を導入したからといって仕事量そのものが大幅に減ったわけではありません。分析や文章作成にかかる工数は確かに削減されましたが、その分、これまで着手できていなかった施策の実行に時間を使えるようになった、というのが実感に近いです。

言い換えれば、労働時間が減ったというよりも、同じ人数で対応できる業務の幅と量が広がったことが、今回の導入効果だと捉えています。

6. 導入時に最も大変だったこと:AI に渡す前の「情報整理」

今回の取り組みで最も負荷が大きかったのは、Openclaw そのもののセットアップよりも、AI に渡す社内情報の整理と構造化でした。

AI エージェントは、十分な前提情報がない状態で使うと、一般論としてもっともらしい提案は返してくれるものの、自社の実態に即した支援にはなりにくい傾向があります。

実際、初期段階では、会社の強みや顧客像、主力商品、過去案件の特徴といった情報が十分に整備されておらず、AI からの質問に都度答えるだけで終わってしまう場面もありました。これでは、期待していた「業務効率化」にはつながりません。

そのため当社では、以下のような情報を AI が扱いやすい形に整備しました。

  • 会社の業務内容
  • 主力商品・サービスの情報
  • 顧客層や売上に関するデータ
  • 営業活動や過去案件の履歴
  • 事業計画や月次計画の記録

こうした下準備を経て初めて、AI が自社文脈を踏まえた提案を返せるようになり、実運用に耐える環境が整いました。

より詳細な技術的な取り組みについては、別途技術ブログでも紹介しています。

7. 自社に合った AI 活用をご検討の方へ

今回の事例から言えるのは、AI エージェントは 「導入しただけで業務の 90% が自動化される魔法のツール」 ではない一方で、社内データの整備と業務設計を行えば、実務を着実に前へ進める強力な補助役になり得るということです。

特に、以下のようなお悩みをお持ちの企業様には有効です。

  • マーケティング分析や改善提案に時間がかかっている
  • 顧客情報は蓄積しているが、十分に活用できていない
  • 事業計画や営業施策を、データを踏まえて継続的に見直したい
  • AI を導入したいが、何から整理すべきか分からない

アイゼックでは、AI 活用そのもののご相談だけでなく、AI が機能するための前提となるデータ整理や運用設計も含めて支援しています。

「自社でも同じような活用ができるのか知りたい」

「まずは小さく試しながら、業務効率化につなげたい」

このようなご関心がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください

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