HD-SDIやHDMI映像信号を遠隔地に伝送する為にはイーサネット変換が必用
HD-SDIやHDMIなどの映像信号を遠隔地にいる人々にインターネット経由で映像を伝送するにはHD-SDI、HDMIの映像信号をイーサネットで伝送できるデータに変換する必要があります。
この時に必要なのがエンコーダーと呼ばれる機器です。
エンコーダーは映像信号をデジタルデータに圧縮することで、帯域幅を節約し伝送することができます。
またデータ化された映像信号を再度HDMIに変換し映像をモニタに表示させる為にはデコーダーと呼ばれる機器が必用となります。
ここでは、エンコーダーの基礎知識と選び方のポイント、映像を遠隔伝送する為の手順。さらにはRS-232やRS-485信号も同時に伝送可能なエンコーダーについて紹介します。
エンコーダー選定時に気を付けるポイント
HD-SDIやHDMIの映像をインターネット経由で遠隔へ伝送する際にエンコーダーが必用となります。ただエンコーダーは、高品質な映像を伝送するための専用機器であるため、比較的高価なものが多いです。
選定を間違えて意図した使用のできない製品を購入しないよう注意しましょう。本項ではエンコーダーを選定する際に注意すべき4つのポイントを紹介します。
①入力映像が対応しているか?
エンコーダーの映像入力が遠隔に送りたい映像信号に対応しているか確認が必要です。アナログ映像にはHDMI、HD-SDI,AHD,TVI,CVBSなど沢山の種類があります。
全ての映像信号に対応したエンコーダーはなく、HDMIだけだったり、HDMIとHD-SDIだけなどエンコーダーによって対応している映像入力はバラバラです。
ですのでカタログのスペックシートで映像入力の項目を確認し、送りたい映像信号に対応しているか必ず確認をしましょう。
また対応している画質も確認しましょう。最近は4K画質の映像源もふえてきましたがエンコーダーによってはフルHDまでしか対応していない場合があります。
②映像の伝送レートや解像度の変更が可能か?映像の遅延はどのくらいか確認をする
映像データをネットワーク経由で伝送する際に伝送レートが大きすぎると設置場所でネットワーク速度低下などのトラブルを起こす可能性があります。
解像度 | 必要な帯域 |
---|---|
4K(3820×2160) | 13,000~51,000kbps |
Full HD(1920×1080) | 3,000~9,000 Kbps |
HD(1280×720) | 1,500~6,000 Kbps |
SD(720×480) | 500~2,000 Kbps |
エンコーダーには1秒間に送るデータ量(ビットレート)を設定する機能がある製品もあり、そういった機能を使えば上述したトラブルは未然に防ぐことができます。
またエンコーダーで遠隔へ映像を伝送する場合、映像をデータ化し遠隔へ伝送するといった処理が発生する為必ず遅延します。
遅延が酷い製品だと1秒以上遅延する事もありますので、遅延時間がどの程度か事前に販売元へ確認しましょう。
③用途に必要な機能(制御信号の伝送可否やAPI連携など)を確認する
エンコーダーには映像だけでなく音声、RS-232やRS-485といった制御信号を一緒に送ったり、APIを使って別のソフトウェアと連携させるなど多様な機能が搭載されている機種があります。
映像を遠隔で見ながら制御信号で遠隔の機器を操作したいといった場合には映像とRS-232/485を伝送可能なエンコーダーを選定する必要がありますし、別のソフトウェアと連携させたい場合、API一覧を販売元から入手して使いたいAPIが搭載されているか?
そもそもAPIがあるのかなどの確認をしましょう。
④ファームウェア更新などアフターサポートがしっかりしているか
エンコーダーを購入する際に、映像品質や伝送速度などの性能だけでなく、アフターサポートについても確認することは非常に重要です。
エンコーダーは、ファームウェアと呼ばれる内部ソフトウェアを搭載しており、これはエンコーダーの機能や性能を制御するために必要なものです。
しかし、時として、ファームウェアにバグがあったり、新しい機能が追加されたりすることがあります。このような場合に、ファームウェアを更新することで、問題を解決することができます。
また、エンコーダーは、長期間にわたって使用することが前提となっています。そのため、故障や不具合が発生した場合にも、アフターサポートがしっかりと行われていることが重要です。例えば、修理や交換などの対応を行ってくれるかどうかなどを確認する必要があります。
さらに、エンコーダーを使用する際には、その操作方法や設定方法についての知識が必要です。特に、初めてエンコーダーを利用する場合には、操作方法や設定方法についてのサポートが必要となることがあります。
このような場合に、適切なアフターサポートを提供してくれる販売元やメーカーを選ぶことが重要です。
以上のように、エンコーダーを選ぶ際にはご紹介した4つのポイントをしっかり確認することで機器の購入ミスを防ぐことができ、適切なアフターサポートを提供してくれる販売元やメーカーを選ぶことで、長期間にわたって安心してエンコーダーを利用することができます。
購入前に検証用貸出機で検証し最終確認を
エンコーダーやデコーダーを購入する前に、販売先が行っている検証用の貸出サービスを利用することをおすすめします。実際に機器を手に取って、性能や機能面を確認できますし、貸出期間中に設定方法など使用方法について販売先のサポートスタッフに問い合わせることでサポート体制について体感できるからです。
貸出検証機を利用することで、自分の用途に適したエンコーダーやデコーダーを選定できているか、販売先のサポート体制は問題無いかを実際に確認でき、安心して購入することができます。是非、購入前に貸出検証機を利用して、自分に最適な機器を選びましょう。
アイゼックではエンコーダ、デコーダー購入前の検証用貸出サービスを行ってます。
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エンコーダー活用事例を紹介
エンコーダーがどのように活用されているかいくつか事例を紹介します。
事例1:市役所の出退勤管理映像をネットワークを介して共有
市役所で使われている出退勤管理は出勤した人がスイッチを押すと出勤状態とモニタに表示されるシステムが使われていました。
この出退勤状態を示すモニタは1Fの入口近くについているだけなので、出退勤情報を確認する為には、わざわざ1F入口まで見に行く必要がありました。また出退勤管理システムを更新すると多額の費用と使用方法の教育に時間がかかる為、現状のシステムのまま費用を抑えた方法としてエンコーダーが活用されました。
システム自体は非常に単純でモニタへ繋がれていた出退勤状態の映像をエンコーダーに接続し、イーサネット(LAN)に変換したデータを市役所のネットワークに流す事で、市役所内のPCからいつでも出退勤状態を確認できるようにするといった形です。
エンコーダーにはAPI機能でキャプチャ画像出力機能も付いており、これを活用する事で映像でなくキャプチャ画像として出退勤状態を確認出来る為、同時閲覧者がおおくてもネットワークにかかる負荷を抑える事ができました。
工場における出退勤確認〜エンコーダーにより遠隔確認を低コストで実現〜
事例2:工場設備の監視及び機器の制御
プラント設備にて設備を監視しているカメラがあり特殊仕様のカメラの為映像がHD-SDIでしか出力できない製品でした。このSDI出力のカメラ映像を遠隔の監視棟に送り、更に監視棟から映像をリアルタイムで見ながら設備の照明設備などをRS-485信号で操作をしたいといった要望がありました。
エンコーダーにはRS-232や485を伝送する機能もついており、デコーダーと組み合わせる事でRS-232や485の制御信号を双方向に通信する事ができます。
エンコーダー、デコーダーを組合せて使用する事で工場内の映像を遠隔で監視しながら工場設備もRS-485制御信号で操作するシステムを構築する事ができました。
本記事では2事例紹介しましたが、紹介した事例の使い方以外にもエンコーダーを活用する事で遠隔監視や遠隔制御などのシステムを構築する事ができます。
エンコーダー、デコーダーをお探しの方はアイゼックにお問い合わせください
エンコーダー・デコーダーは、映像伝送に必要な重要な機器であり、医療現場、防犯・監視、工場など様々な分野で活用されています。
しかし適切なエンコーダー・デコーダーを選定するには製品知識に加えて映像、ネットワークに関する専門知識が要求されます。
当社では、豊富な経験と知識を持ったスタッフが、お客様のニーズに合わせた最適なエンコーダー・デコーダーの選定を行っております。また、貸出検証サービスを行っており、お客様が実際にエンコーダー・デコーダーを使用して、ご自身で確認することができます。
さらに、当社では、お客様のご要望に合わせて、機器の設定やトラブルシューティングなど、アフターサポートにも力を入れております。ファームウェアの更新や故障時の修理対応も行っておりますので、安心してご利用いただけます。
エンコーダー・デコーダーの選定や導入についてご相談いただければ、当社スタッフが丁寧にご対応いたします。
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