ガソリンスタンドのおよそ3店舗に1店舗がセルフ式と言われている現在。2000年にはわずか1%ほどだったシェアが、20年で30%を超える規模にまで増えています。
一方で、 セルフ式ガソリンスタンドを狙った精算機荒らしや窃盗事件が多発するなど、店舗運営に悩んでいるオーナーも少なくありません。 特に被害を受けやすいのが、深夜の時間帯。24時間営業の店舗が増える中、効果的な対策が求められています。
すでに監視カメラを設置している店舗もありますが、一般的なシステムでは想定していたほどの防犯効果を感じられないといった悩みが寄せられています。 今回は、セルフ式ガソリンスタンドに適した監視カメラシステムの導入事例を紹介します。
本記事の概要
お客様の問い合わせ経緯
当社にご相談をくださったセルフ式ガソリンスタンドの場合、すでにカメラを設置しているものの、 監視に多くの労力を割いている課題 がありました。
お客様の課題
- 映像に動きの少ないシーンが多く、カメラに張り付く必要がある。
- スタッフ1名で対応をしていることが多く、来客に気づかない。
待機所からモニタを通してスタンドを監視していましたが、もともと映像に動きが少ないこと、スタッフ1名で対応する時間があることから、来客に気づかないケースがたびたび起こっていたのです。
セルフ式とはいえ、お客様の動きに合わせて対応することもあります。また、防犯の観点でも、スタンド内の人の動きを追いきれないのは不安が残る状態といえるでしょう。
この課題を解決したのが、「モーション検知」と「スポットモニタ出力」の2つの機能を持つ監視カメラシステムの導入です。
問題の解消に加えて得られたメリット〜レコーダー機能を活かした防犯とオペレーションの省人化〜
導入いただいた監視カメラは、「モーション検知機能」と「スポットモニタ出力機能」を備えたものです。
お客様の動きを検知した監視カメラの映像をモニタに表示できるため、モニタ画面の変化に気づきやすくなります。 各給油スタンドが見えるように監視カメラを設置したことで、お客様の動きを見落とすことが大幅に減りました。
また、以前は監視カメラの映像を流し続けている状態だったため、集中してモニタを見ておく必要がありました。それが、見るべき映像が自動で表示されるようになったことで、他の業務に取り組みやすくなったのです。
監視カメラの入れ替えにより、お客様の動きを把握するだけでなく、 スタッフの業務効率アップや防犯対策の向上にもつながりました。
抱えていた問題を解決する以上のメリットを生んだ機能について、導入時に気をつけたいポイントと合わせて詳しく紹介します。
機能1:モーション検知機能
セルフ式ガソリンスタンドへの導入実績が多く、ぜひおすすめしたい機能の1つです。モーション検知機能は、 画面内で任意の検出枠を指定して、枠内の映像に動きがあれば自動で検知する機能 です。
映像に動きが少ないガソリンスタンドにおいて、非常に有効な機能といえるでしょう。
また、給油スタンド付近に検出枠を設定しておくことで、それ以外の場所で人の動きがあっても検出されないようにすることが可能です。
通行人やスタッフが作業している様子などは検知の対象外となり、誤認識される心配もない点が優れています。
また、録画容量を節約できる点もメリットです。
映像のデータ容量は高画質化に伴ってどんどん大きくなっていますが、モーション検知機能によって 必要な分だけ撮影することで、より長時間にわたる映像を高画質で記録できる ようになります。24時間営業のガソリンスタンドなどとも非常に相性の良い機能です。
機能2:スポットモニタ機能
モーション検知が作動したタイミングの映像のみモニタに出力する機能のことを「スポットモニタ機能」 といいます。
特徴は、映像を表示させる時間を任意で設定できる点にあります。モーション機能の作動から10秒間だけ映像を表示するといったことが可能です。
通常、モニタに監視映像が表示され続けているため、人の動きがあったとしても画面の変化に気づきにくいでしょう。
スポットモニタ機能があれば、人の動きを容易に認識でき、画面を見続けておく必要がなくなります。
何かイベントがあった時にだけ画面が映し出され、設定した表示時間が経過すれば自動で画面を暗転させることもできるため、来客の見逃しをなくすことが可能です。
監視カメラ導入にあたって気をつけたい「高画質映像」の扱い
監視カメラの性能を語る上で欠かせないのが、画素数や画質です。
一般的に「高画質」とされるのは、フルハイビジョン(200万画素~500万画素)以上になりますが、現在では 4K(約800万画素)、8K(約1600万画素)にも対応したカメラが登場しています。
ですが、 画素数が多いほど良いのかというと、そうとは限りません 。
理由は、画素数が大きくなるほどレコーダーに 必要な記録容量も大きくなり、装置側の処理にも負担がかかるから です。
そのため、カメラの進化に合わせて高性能・高速処理能力を持ったレコーダーや大容量映像データを転送するケーブルなど、システム全体のスペック向上が必要になります。
ガソリンスタンドへの導入の場合、4K・8K画質にする必要はありませんが、 ナンバープレートまで鮮明に映し出すには、フルハイビジョンクラス(200万画素)以上のシステムを導入したいところです。
当社では、用途や全体予算に応じて、必要な範囲のシステムを導入することをおすすめしています。
ガソリンスタンドにおける防犯カメラの重要性
当社にご相談いただいた企業様に、最適な防犯カメラのソリューションをご提案させていただいたところ、とても喜んでいただきました。
ガソリンスタンドにおける防犯カメラの重要性は強まっています。以下では、当社にご相談いただくお悩みの内容をご紹介します。
(1)精算機荒らし・窃盗犯罪の抑止
2010年頃からセルフ式ガソリンスタンドを狙った精算機荒らしや窃盗などの犯罪が増加しています。
一般的な店舗とは違い、車での侵入が容易で短時間での犯行が可能な精算機荒らしは、複数犯による組織化が進み、多くの被害が報告されています。
新聞社の調べによれば、犯行に要する時間は数十秒から数分程度。バールなどで精算機を破壊するのが、一般的な手口です。深夜の時間帯に多く発生するため、現行犯での逮捕は非常に難しいとされています。
また、複数名で行われる犯行を店舗スタッフが防ぐこともほぼ不可能です。重要なのは、窃盗団に目を付けられないようにすること。
犯行を抑止するためにも、監視カメラの導入ニーズが高まっています。
(2)来客見逃しの防止
監視カメラの導入には、防犯に大きな効果があると同時に、店舗オペレーションの効率化というメリットもあります。
お客様の車がスタンド内に入ってきた様子を遠隔で確認できるため、店頭にスタッフが常駐しなくても、待機所などの離れた場所から監視できるメリットがあります。
セルフ式はもちろん、フルサービスのガソリンスタンドでも来客の見落としをなくすことができ、店舗オペレーションの効率化を図る上で非常に有効です。
(3)自動車ナンバー、車種の記録
カメラによる映像の記録は、スタンド内でトラブルが起こった際にも有効に機能します。従来のカメラシステムとは違って、現在の機材は鮮明な映像を撮影・記録することが可能です。
高性能カメラが撮影した映像を劣化させることなく、遠隔地にあるモニタに出力・記録できる伝送技術があるため、複数のカメラ信号を一か所で確認することもできるのです。
車種の認識はもちろん、ナンバープレートも詳細に映し出し、映像をさかのぼって確認することで、お客様の特定にも役立ちます。
低照明度性能に優れたカメラを設置すれば、夜間の暗い場所でも明るい映像の撮影が可能となり、24時間いつでも鮮明な映像を確認・記録することができます。
導入後の対応も含めて、豊富な実績を持つ専門会社に相談を
監視カメラといっても、その用途はさまざまあり、機能も多種多様です。それだけに、 スペックや価格だけを見て判断するのではなく、自社が考える用途に合ったシステムを見つける ことが、後悔のない選び方のポイントといえるでしょう。
特に今回紹介したセルフ式ガソリンスタンドの事例では、 防犯効果だけでなく店舗オペレーションの省力化、スタッフの業務負担の軽減にも役立つ「モーション検知機能」と「スポットモニタ機能」が、非常に相性が良い機能でした。
この2つの機能だけでなく、ここでは紹介していない機能を搭載した監視カメラシステムを当社では豊富にラインナップしています。
また、これまでに数多くの店舗、施設、工場などへの導入を手掛けてきた実績を活かして、 導入後のメンテンナンスや長期的な運用を踏まえてソリューション をご提案します。
「こんなことに悩んでいる」「これくらいの予算で導入したい」というご要望があれば、まずはお気軽にご相談ください。
専任の担当者がご要望を細かく伺い、課題や目的に応じた監視カメラを紹介させていただきます。
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