はじめに
Hikvisionのレコーダーや監視カメラの映像をスクリーンショットとして取得し、NAS(ファイルサーバー)に保存したいという問い合わせがありました。
今回の記事ではスクリーンショットの取得方法とNASへの保存方法について説明します。
必要な手順
必要な手順は以下の通りです。
- ISAPIを調べる
- ISAPIを実行し、スクリーンショットが表示されるか確認する
- PCにPythonをインストール
- Pythonのプログラムを作成し、実行する
- 作成したプログラムをRaspberry Piに転送する
- cronを設定し、プログラムを定期実行する
ISAPIを調べる
ISAPI (Intelligent Security Application Programming Interface) とは、監視カメラやレコーダーとPCやサーバー間で通信するためのプロトコルです。HTTPベースのREST APIで構成されています。
こちらの資料 からISAPIを確認できます。
監視カメラやレコーダーから撮影中の映像をスクリーンショットとして取得するには以下のISAPIを使用します。
/ISAPI/Streaming/channels/<ID>/picture
より高い解像度でスクリーンショットを取得する場合は以下のISAPIを使用してください。
/ISAPI/Streaming/channels/<ID>/picture?videoResolutionWidth=1920&videoResolutionHeight=1080
ISAPIを実行する
ISAPIはREST APIであるため、HTTPで定義するGET、POST、PUT、DELETEなどのリクエストでデータを操作します。
スクリーンショットの取得はGETメソッドを使用するため、ChromeやSafariのブラウザにURLを入力するだけで実行できます。
今回はIPアドレスが「192.168.40.115」のレコーダーに対し、スクリーンショットを取得します。
使用するチャンネルは3、映像はメインストリームを使用します。
ISAPIの<ID>について
/ISAPI/Streaming/channels/<ID>/picture
<ID>には数字を入力します。
監視カメラの<ID>はメインストリームが1、サブストリームが2になります。
レコーダーの<ID>は3桁または4桁の数字になります。チャンネル3のメインストリームのスクリーンショットを取得したい場合は301になります。
http://user:password@192.168.40.115/ISAPI/Streaming/channels/301/picture
上記のURLをブラウザに入力するとレコーダーで録画している映像のスクリーンショットを取得できました。
PCにPythonをインストール
PCにPythonをインストールします。
Pythonは 公式HP からダウンロードできます。
Microsoft Storeからインストール
また、WindowsユーザーはMicrosoft Storeからインストールできます。
検索欄にMicrosoft Storeと入力し、Microsoft Storeを立ち上げます。
Pythonを入力するとPythonの各バージョンが候補に表示されます。
最新バージョンのPythonを選択し、入手をクリックするとPythonがインストールされます。
Pythonのプログラムを作成し、実行する
スクリーンショットを取得し、保存するプログラム
まずはレコーダーからスクリーンショットを取得し、ローカルに保存するプログラムを作成します。
プログラムを作成する前にrequestsのライブラリをインストールします。
pip install requests
プログラムは以下の通りです。
# getimage01.py
import requests
from requests.auth import HTTPDigestAuth
from datetime import datetime
import hashlib
# レコーダーのIPアドレス、ユーザー名、パスワード、チャンネル番号を設定
ip_address = "ip_address"
username = "username"
password = "password"
channel_number = "channel_number"
# 現在の日時を取得
current_time = datetime.now()
formatted_time = current_time.strftime("%Y%m%d%H%M%S")
# ハッシュ値を生成(ここでは単純な例として現在時刻のMD5ハッシュを使用)
hash_value = hashlib.md5(formatted_time.encode()).hexdigest()
# ハッシュ値の最初の5文字を取得
hash_value_short = hash_value[:5]
# ファイル名を生成(ファイル名は年月日+5桁のハッシュ値)
filename = f"{formatted_time}_{hash_value_short}.jpg"
# スクリーンショット取得用のURL
url = f"http://{ip_address}/ISAPI/Streaming/channels/{channel_number}/picture"
# リクエストの送信(Digest認証を使用)
response = requests.get(url, auth=HTTPDigestAuth(username, password))
# スクリーンショットの保存
if response.status_code == 200:
with open(filename, 'wb') as file:
file.write(response.content)
else:
print(f"Error: {response.status_code}")
プログラムが正常に動作したらNAS(ファイルサーバー)に接続し、NASにスクリーンショットを保存するコードを追加します。
NASにスクリーンショットを保存するプログラム
NASとの接続にはSMBを使います。
NAS側でSMBを有効化します。
有効化したらSMBのライブラリをインストールします。
pip install pysmb
プログラムは以下の通りです。
# getimage02.py
import requests
from requests.auth import HTTPDigestAuth
from datetime import datetime
import hashlib
from smb.SMBConnection import SMBConnection
# レコーダーのIPアドレス、ユーザー名、パスワード、チャンネル番号を設定
ip_address = "ip_address"
username = "username"
password = "password"
channel_number = "channel_number"
# NASのIPアドレス、ユーザー名、パスワード、共有フォルダ名、ファイル保存先のパスを設定
nas_ip = "nas_ip"
nas_username = "nas_username"
nas_password = "nas_password"
nas_share = "nas_share"
nas_path = "nas_path"
# 現在の日時を取得
current_time = datetime.now()
formatted_time = current_time.strftime("%Y%m%d%H%M%S")
# ハッシュ値を生成
hash_value = hashlib.md5(formatted_time.encode()).hexdigest()
# ハッシュ値の最初の5文字を取得
hash_value_short = hash_value[:5]
# ファイル名を生成(ファイル名は年月日+5桁のハッシュ値)
filename = f"{formatted_time}_{hash_value_short}.jpg"
# スクリーンショット取得用のURL
url = f"http://{ip_address}/ISAPI/Streaming/channels/{channel_number}/picture"
# レコーダーからスクリーンショットを取得
response = requests.get(url, auth=HTTPDigestAuth(username, password))
if response.status_code != 200:
print(f"Error: {response.status_code}")
exit()
# NASへの接続を確立
conn = SMBConnection(nas_username, nas_password, "myclient", "mynas", use_ntlm_v2=True)
assert conn.connect(nas_ip, 139)
# NASにファイルを保存
file_path = f"\\{nas_path}\\{filename}" # NAS上の完全なファイルパス
with open(filename, 'wb') as file:
file.write(response.content)
conn.storeFile(nas_share, file_path, open(filename, 'rb'))
# 接続を閉じる
conn.close()
プログラムを実行し、NASに画像が保存されたか確認します。
Raspberry Piにプログラムを転送
作成したプログラムをシングルボードコンピュータ(single-board computer, SBC)のRaspberry Pi(ラズベリーパイ)に転送します。
PCでもプログラムを定期実行できますが安価かつ低消費電力のSBCでの定期実行を推奨します。
Teratermを開き、Raspberry PiのIPアドレスを入力します。
Raspberry PiのIDとパスワードを入力します。
リモートログインできたらTeratermの画面にドラッグアンドドロップでプログラムを移動させます。
転送先を
./Documents
にします。
今回はRaspberry PiのDocumentsフォルダにファイルを転送しました。
Documentsフォルダに移動します。
cd Documents
フォルダ内にプログラムが格納されているか確認します。
ls -l
プログラムを実行します。
python3 getimage.py
NASのフォルダにスクリーンショットが保存されているか確認します。
Raspberry Piでプログラムを定期実行
プログラムの動作確認が完了したらcrontabを編集し、プログラムを定期実行します。
Documentsフォルダのパスを確認します。
pwd
パスを確認したら以下のコマンドによってcrontabを編集します。
crontab -e
今回は3分に1度、スクリーンショットを定期実行します。以下のように記述します。
*/3 * * * * python3 /home/pi/Documents/getimage.py
3分間隔でNASのフォルダにスクリーンショットが保存されているか確認します。
3分間隔でスクリーンショットが保存されていることを確認しました。
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