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弊社では、スポーツバッグなどのスポーツ用品を Amazon楽天 で販売しています。

最初は Amazon から販売を始め、その後、楽天にも出店しました。

さらに、販売促進のために Instagram の運用や Meta広告などにも取り組むようになりました。

こうした施策によって、売上は少しずつ伸びていきました。

しかし、

  • Amazon の売上は Amazon の管理画面。
  • 楽天の売上は楽天の管理画面。
  • Instagram とインスタ広告の反応は Instagram 側の画面。
  • 在庫や原価は Google スプレッドシート。

このように、 売上、手数料、送料、広告費、在庫、原価、SNSの反応が別々の場所に分かれていました。

画面が分かれていると、事業に関わるメンバー全員が同じ情報を見ている状態にはなりません。

たとえば、Amazon の売上は把握している人がいても、楽天の状況までは見ていない。

Instagram の反応は分かっていても、それが実際の売上や利益とどうつながっているかまでは共有されていない。

このように、情報が分散していることで、メンバーごとに見えている景色が少しずつ違っていました。

そのため、ミーティングのたびに「今月の売上はどうだったか」「どの商品が売れているのか」「在庫は十分にあるのか」「広告は効いているのか」といった認識合わせから始める必要がありました。

そこで、EC運営に必要な数字を一つの画面に集約するダッシュボードを作ることにしました。

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作ったもの

今回作ったのは、Amazon、楽天、Instagram、Meta広告、在庫、原価、実施メモをまとめて確認できる EC事業ダッシュボードです。

売上だけではなく、送料、手数料、広告費、原価まで含めて、商品別・販路別に利益を見られるようにしました。

日々の数字を見ながら、

  • どの商品を伸ばすか
  • どの商品ページを改善するか
  • どの投稿や広告が効いているか
  • 在庫が十分にある商品へ広告を寄せられるか
  • 利益が残っていない商品の原因は何か

を判断できるようにすることです。

全体構成

構成は次のような形です。

外部サービス  Amazon SP-API  楽天 CSV / BillPay ZIP / RMS API  Instagram Graph API  Meta Marketing API  X API  OpenAI APICloudflare Workers / 手動取込スクリプトCloudflare D1 / R2React Router ダッシュボードAI月次提案レポート / 改善アクション / 図解画像

データベースには Cloudflare D1、CSV や ZIP などの原本保存には R2 を使っています。

ダッシュボード本体は React Router で作りました。

取得しているデータ

主に次のようなデータを取り込んでいます。

  • Amazon の注文、FBA在庫、Settlement
  • 楽天の商品別売上 CSV
  • 楽天 BillPay ZIP の費用データ
  • 楽天 RMS API の在庫データ
  • Instagram の投稿実績とインサイト
  • Meta広告の配信実績
  • 商品マスタ、原価、入庫、出庫、検品費用、廃棄損
  • 月次の実施メモ

これらをまとめることで、売上だけでなく、原価や手数料を引いた後の利益まで見られるようにしています。

Amazon は SP-API を中心に取得

Amazon については、SP-API を使って注文、FBA在庫、Settlement Report を取得しています。

Amazon は最初の認証準備には開発者登録、SP-API アプリ登録、LWA の client id / client secret、refresh token、marketplace id などをそろえる必要があります。

ただ、一度ここを通過できれば、あとは API を中心に設計しやすい印象でした。

楽天は API だけでは完結しなかった

楽天は、今回かなり試行錯誤した部分です。

Amazon のように API だけで必要なデータをきれいに取得する、という形にはできませんでした。

このプロジェクトでは、楽天のデータ取得を次のように分けています。

データ 取得方法
商品別売上 RMS から CSV をダウンロードして取り込み
費用 BillPay ZIP をダウンロードして取り込み
在庫 RMS API で日次同期

楽天で大変だったのは、売上、費用、在庫の取得経路が分かれていることです。

  • 売上は商品別売上 CSV。
  • 費用は BillPay ZIP。
  • 在庫は RMS API。

それぞれ形式が違うため、Amazon と同じ粒度で比較できるように整える必要がありました。

特に BillPay ZIP は、利益計算に必要な送料や手数料を扱うために重要です。 ただし、API で直接取るというより、ZIP をダウンロードしてアップロードし、システム側で展開・解析する形にしました。

ここは、いわゆるきれいな API 連携というより、実務上の帳票や CSV をどう正規化するかがポイントでした。

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Instagram と Meta広告も取り込む

EC運営では、売上や在庫だけでなく、SNS と広告も一緒に見たいところです。

そのため、Instagram Graph API で投稿実績やインサイトを取得し、Meta Marketing API で広告実績を取得するようにしました。

ここで取得しているのは、たとえば次のような数字です。

  • Instagram 投稿ごとのいいね数、コメント数、リーチ、保存数
  • アカウント全体のリーチやプロフィールアクセス
  • Meta広告の広告費、表示回数、クリック、購入数、ROAS

Meta まわりで一番ハマったのは、Instagram アカウント単体では API 連携が完結しないことです。

Instagram の投稿やインサイトを取得するには、Instagram を Professional Account にし、Facebook ページと紐づけ、Meta Developers 側でアプリと権限を設定する必要があります。

「Instagram の数字を取りたいだけ」でも、Facebook ページ、Meta Business Suite、Meta Developers の設定が関係してきます。

API のコードを書く前に、アカウント設定と権限まわりで時間を使いました。

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X の投稿を AI 用の知見データに変換

Amazon、楽天、Instagram、Meta広告のデータを取得できて、自社ECの売上、利益、広告、SNS、在庫の状況はかなり見えるようになりました。

次に課題になるのは、そのデータをどう読み解くかです。

AIに売上や広告費、在庫数を渡せば、数字の要約や一般的な改善提案はしてくれます。

ただ、それだけでは「よくあるEC改善案」にとどまってしまいます。

そこで、ECマーケターの知見をAIに参照させる仕組みを作ることにしました。

参考にしたのは、X上でEC運営について有益な情報を発信しているマーケターの方です。

X APIを使い、その方の過去1年分の投稿を取得しました。

投稿本文だけでなく、添付画像も収集し、EC運営に関する考え方や判断基準を抽出しました。

そのうえで、AIが参照しやすいように JSON 形式の知見データへ変換しました。

たとえば、次のような観点を整理しています。

  • 広告を強める前に確認すべきこと
  • 商品ページ改善で優先すべきポイント
  • SNSの反応を売上につなげる考え方
  • 在庫状況と広告判断の関係
  • 利益率を見ながら販売施策を考える視点
  • EC運営で見落としやすい指標

この知見データを、自社の売上、利益、在庫、Instagram、広告、実施メモと一緒にAIへ渡すことで、単なる数値分析ではなく、ECマーケターの視点を踏まえた改善提案に近づけました。

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AI で月次の改善提案を作る

ダッシュボードでは、月次の数値と実施メモをスナップショット化し、ChatGPT 5.4-mini に渡して改善提案を作っています。

AI に渡すデータは、主に次のようなものです。

  • 商品別・販路別の売上
  • 原価、手数料、広告費を含めた利益
  • 在庫状況
  • Instagram 投稿実績
  • Meta広告実績
  • その月に実施した施策メモ
  • X から抽出した EC 運営の知見データ

AI には、数字を要約させるだけでなく、次にやるべき改善案まで出させています。

たとえば、

  • 在庫が十分にあり、利益も残っている商品を優先する
  • 売れているが利益が薄い商品の費用構造を確認する
  • Instagram で反応が良かった訴求を商品ページや広告に展開する
  • 広告を強める前に在庫と粗利を確認する

といった形です。

さらに、提案内容を担当者が理解しやすいように、4〜5枚の図解画像として出力する仕組みも作りました。 画像生成には GPT-image-2 を使っています。

ダッシュボードを作った効果

EC事業ダッシュボードを作って、まず大きかったのは、事業に関わるメンバーが同じ数字をすぐに確認できるようになったことです。

ダッシュボードに集約したことで、売上、営業利益、費用、在庫、広告効果、SNSの反応を一つの画面で確認できるようになりました。

その結果、ミーティングのたびに数字を集めたり、認識を合わせたりする時間が減りました。

もう一つの効果は、AIによる分析ができるようになったことです。

Amazon や楽天の商品画像、商品説明文の見直し、Instagram の投稿画像の作成など、EC運営ではやることが多くあります。

そのため、データは集まっていても、それを分析し、改善案を考え、次の施策に落とし込むところまで手が回っていませんでした。

今回のダッシュボードでは、集約したデータをAIに渡すことで、売上、利益、広告、在庫、SNSの状況をもとに、改善の方向性を自動で整理できるようにしました。

さらに、画像生成も活用することで、次にどのような商品画像や投稿画像を作るべきかも直感的に見えるようになりました。

数字を集めるだけでなく、分析し、次のアクションを考えるところまで見える化できたことが、今回の大きな効果だったと思います。

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まとめ

今回、Amazon、楽天、Instagram、Meta広告、X、OpenAI API、在庫・原価データを組み合わせて、EC事業ダッシュボードを作りました。

作ってみると、API 連携そのものよりも、各サービスのデータを同じ粒度にそろえることの方が大変でした。

特に楽天は、API、CSV、ZIP を組み合わせる必要があり、実務データを正規化する難しさを感じました。

一方で、データがそろうと、AI による月次分析や改善提案までつなげられます。

今回作りたかったのは、単なる集計画面ではありません。

売上、利益、在庫、広告、SNS をまとめて見ながら、次にどの商品をどう改善するかを決めるための仕組みです。

中小企業でも、自社の業務に合わせたダッシュボードを作り、AI を組み込んで改善提案まで行う。

そういう社内システムの作り方が、かなり現実的になってきたと感じています。

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