はじめに
弊社のエンコーダー/デコーダーを使い、遠隔地の映像を中央監視センターに送ったり、または支店と本店で映像を共有するシステムをモバイル回線を使って構築したい、モバイル回線を使う事はできるのかといったお問い合わせを多くいただいています。
弊社の映像伝送装置、エンコーダー機(LAN-HD264E、LAN-UHD265E)とデコーダー機(LAN-UHD265D-1)を使用することで、HDMI映像をインターネット回線を介して遠隔地に伝送することが可能です。
また、インターネット回線としてモバイル回線を使用することも勿論できます。
本記事では実際にモバイル回線を使って遠隔監視する手順をご紹介します。
機器構成
エンコーダー専用機(LAN-HD264E)、デコーダー専用機(LAN-UHD265D-1),モバイルルーター(home 5G HR02)をつかい、PC画面の映像をLAN-HD264Eにてエンコードしモバイルルーターを介して遠隔伝送、デコーダーでそのデータを受信しモニタに表示させるといったシステムを構築。
回線はIIJmioのIoT回線の上り高速プラン3GBを使用しました。
設定手順
- PCとエンコーダー(LAN-HD264E/LAN-UHD265E)をHDMIケーブルにて接続
HDMI INにHDMIケーブルを接続します。
- エンコーダーにて映像を受信している事を確認
ブラウザ経由で設定画面にログインし、映像が表示されている事を確認
- モバイルルーターとエンコーダーをLANで接続
- モバイルルーターにてポートを開放
エンコーダーの映像伝送用のポートは標準では2000番台のポートを使用している為、2000番台のポートを一つ明けます。
- デコーダー機(LAN-UHD265D-1)にて、モバイルルーター側のIPアドレスと開放したポート番号など接続先情報を設定します。
- 設定を完了したら、HDMIケーブルをデコーダーとモニタに接続し映像が出る事を確認
以上の手順でモバイルルーターを使った映像の遠隔伝送を構築できます。
モバイルルーターを使って遠隔伝送する際の注意点
- モバイルルーターは有線LANポートが付いているものを使用する
映像伝送装置は無線LANは非対応の為、有線接続をする必要があります。モバイルルーターに有線ポートが付いているモデルもしくはクレードルと組合せて使用するようにしてください。
- 回線がポート開放に対応しているか確認
遠隔監視を行う為にはポート開放が必要ですが、回線業者によってはポート開放が出来ない回線もございます。
弊社で過去にあった事例では DIS mobile(ディーアイエス モバイル)の回線を使用されたお客様にてポート開放が出来ず確認した所、ポート開放に制限がかかっておりました。また楽天モバイルの回線もポート開放を行う為には固定IPオプションに加入する必要があります。
これらは一例ですがモバイル回線業者によってポート開放は制限されていたりオプション対応だったりする為、回線契約前にご確認をお願いします。
映像伝送用エンコーダー・デコーダーで可能なセキュリティ対策をご紹介
映像を遠隔に伝送する際に一番の懸念点は不法アクセスによる外部への漏洩リスクなどがございます。映像伝送装置に搭載されている機能やVPNルーターを組み合わせる事でこれらのリスクを抑える事ができます。
セキュリティ対策をいくつかご紹介します。
- SRT接続を使用しデータを暗号化する
SRTとは最新の映像伝送プロトコルで高品質な映像を安定して送る事が可能です。詳しくは こちら をご参考下さい。また本方式を利用するとAES-128 か AES-256方式でデータの暗号化も可能です。 SRT接続の設定方法は オンラインマニュアル をご参考下さい。
- VPNルータを使ってVPN回線を構築し映像を伝送する
本製品はVPN回線でも使用できます。VPNルーターを使えば通常のインターネット回線もVPN回線化して使用可能です。
映像伝送装置の用途事例紹介
工場システムの運用管理画面の遠隔監視
プラントエンジニアリング企業が納入した工場のシステム運用管理状況を監視する為、本製品が活用されました。
運用管理画面はインターネット回線経由で伝送する必要がありますが、顧客のネットワークを使用することができないため、モバイル回線を利用して伝送を行いました。
工場設備内のSCADAやDCS監視画面の伝送
弊社のエンコーダー/デコーダー製品は、広域網(オープン・ネットワーク)だけでなく閉域網(クローズド・ネットワーク)でも使用可能です。
閉域網での使用例として、以下の事例があります。製造工場設備内の中央監視棟に設置されているSCADA(監視制御システム)やDCS(分散制御システム)の管理画面を工場敷地内の別棟でも映像表示させたいというお問い合わせを頂きました。そこで工場内の閉域ネットワークを使ってエンコーダー、デコーダーで映像を伝送するシステムを提案、導入頂きました。また、工場内のネットワーク帯域への影響を最小限に抑えたいといった要望がありましたので映像のフレームレートやビットレートを調整する対策を実施しました。弊社のエンコーダーとデコーダーは、フレームレートやビットレートなどの数値を制御することが可能です。
エンコーダー、デコーダーの活用事例
他にもエンコーダー・デコーダーの活用事例はございます。
こちらの活用事例もご参考下さい。
映像伝送用エンコーダー・デコーダーの機器詳細
技術的な問題はぜひ当社問い合わせ窓口へ
当社では、お客様の個別の要望に応じた監視カメラシステムを提供するために、様々な機器の動作検証を行っています。
監視カメラシステムついてお困りの場合は、ぜひ当社の問い合わせフォームにご連絡ください。